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母乳は遺伝子が作った最高の健康食
遺伝子があなたのために作っていることのひとつに母乳がある。
西太后は何歳になっても若さを保つために、毎日「母乳」を 毎日飲んでいたというエピソード
自分の意志で好きなものを食べることができる大人と違って、赤ちゃんは母乳しか飲むことができない。
そのため当然ながら母乳には、乳児にとっての必要な栄養素がすべてバランス良く含まれている。母乳は、赤ちゃんにとっての最高の健康食なのである。
だから、その成分を調べてみると何が栄養素として大事なのかがよくわかる。そしてそれは、大人にとってもしかりである。
母乳の中にはもちろん五大栄養素はすべて含まれているが、核酸やヌクレオチドもたくさん含まれている。
三キログラムの新生児が母乳から取り入れる核酸量は1日当たり約100ミリグラムである。
核酸成分であるヌクレオチドは10ミリグラム~20ミリグラム取り入れている。
新生児は、1日当たり約480ミリグラムのヌクレオチド(核酸成分)を必要とするから、母乳からの核酸を四分の一、肝臓や腎臓で作られた核酸を四分の三利用していることになる。
肝臓で作られる核酸だけで十分(母乳中の核酸が栄養にならない)ならば母乳から核酸を取り入れる必要がないはずだが、実はこの四分の一を占める母乳中の核酸が赤ちゃんの健康にとって大きな意味をもっている。
それが明らかになったのは、以下のような研究結果が得られたからである。
①粉ミルクで育った赤ちゃんは、健康面で母乳で育った赤ちゃんより劣る。
②その原因は、母乳には核酸が含まれているが粉ミルクにはほとんど含まれていないことが大きな原因のひとつ。
③粉ミルクに母乳並の核酸を添加すると、そういった健康上の問題が解消される。
それではなぜ肝臓で作られる核酸の他に、母乳(大人の場合は食事)からの核酸が必要なのだろうか。
その理由については多くの研究報告があるが、一口で言うと、「新陳代謝が活発な組織・細胞(腸粘膜、皮膚、骨髄、毛球部、生殖器など)は、肝臓のように核酸を合成する能力を持っていないこと、合成するためには多くのエネルギーを必要とする」ためと解釈されている。
※高齢出産はお勧めできないのはその理由の一つでもあります:体のDNAは損傷&不足のため、核酸合成は若い妊婦さんより劣っているため、核酸の補給は必要である。
母乳中の核酸の意味
母乳中の、あるいは食物中の核酸や核酸成分が栄養学的にどのような効果があるのか、もうすこし詳しく見てみることにしょう。
①病気に対する抵抗力が強くなる
病気に対する抵抗力という言葉を聞いたことがあると思う。抗原抗体反応とは、抗原物質(病原菌やウイルスなど)を抗体(タンパク質でできている)が捕らえ無毒化する反応のことで、免疫力の強さに関係している。
同じ環境下にあっても、風邪を引きやすい人、ひかない人と様々だが、これは免疫力の強さによるわけである。核酸栄養補助食品を摂取するようになってから約20年になるが、この間、風邪を引いたのはたった2回だけ、昔は、よく風邪をひいたり熱を出したりしていたりしていたのが、まるでうそのようである。
高核酸食が病気に対する抵抗力を強めた結果だが、核酸には免疫力を強くする働きがあることが知られている。
その作用機序はヘルパーT細胞の活性化によるインターロイキン2産生昂進作用やナチュラルキラー細胞の活性化によるものと考えられている。
アメリカでは、術後あるいは入院患者の体力回復のための栄養剤としてガン患者などに核酸やその成分が使われている。
臨床研究で、ガン術後患者を対象に核酸RNAとアルギニン、ω―3およびω―6不飽和脂肪酸を組み合わせた栄養剤を使うと入院日数が20・2日からⅠ5・8日に減ったと報告されている。
アルギニンは鮭白子中のタンパク質(プロタミン)に多く含まれるアミノ酸である。
鮭白子エキス(核タンパク)は核酸とアルギニンを同時に摂ることができるので、格好の免疫賦活栄養剤である。
ω―3およびω―6不飽和脂肪酸(魚油や植物油に多い)と鮭白子エキスの組み合わせで免疫力が強くなり病気に対する抵抗力がつくことになる。
また、黄色ブドウ球菌を腹腔に投与したネズミの生存率は核酸を含む食事で育てた場合は高いが、核酸を含まない食事で育てると低くなる。
これもやはり核酸の免疫賦活作用によるものである。
②腸内のビフェズス菌が増える
核酸をほとんど含まない粉ミルクで育った赤ちゃんの腸内細菌はグラム陰性菌(悪玉細菌)が多いが、母乳並みの核酸を添加した粉ミルクや母乳で育った赤ちゃんの場合はビフェズス菌や好気性菌(善玉細菌)が多いことが知られている。
核酸は善玉細菌を増やし、悪玉細菌を減らすわけである。
ビフェズス菌には食物の消化吸収を良くすることはもとより、腸管免疫賦活作用、全身性免疫賦活作用、抗腫瘍作用がある。
最近、アトピーなどのアレルギー疾患に悩む赤ちゃんや病気に対する抵抗力が弱い赤ちゃんが増えているが、粉ミルクを飲む赤ちゃんの腸内細菌が偏っていることに、その一因があると考えられている。
また、無核酸食はアレルギーの原因になる体液性免疫を優位にすることも原因である。
③脂質代謝が改善され生活習慣病を予防する。
粉ミルクで育った新正児の赤血球膜リン脂質のフォスファチジルエタノール-アミノ(PE)、フォスファチジルセリン(PS)を見ると、アラキドン酸、ω―3・ω―6不飽和脂肪酸の約六割で不飽和度が低いのが、ヌクレオチドを添加すると母乳並み(ベースライン)に改善することがわかる
食事性核酸、ヌクレオチドが足りないと、赤血球膜が動脈硬化の原因になる不飽和度が低い脂肪酸を増やすことになる。
これは、核酸食脂質代謝を改善することを示している。
④記憶学習力を向上させる
核酸成分添加粉ミルクを発売した乳業メーカーは、次のような面白い実験をおこなっている。
核酸成分を添加した餌と核酸成分を含まない餌で育てたネズミの迷路試験(出口に餌を置いた迷路で、その場所にたどり着く時間を競う試験)で、次のような結果が出ている。
一回目の実験では核酸成分の添加の有無にかかわらず80~90秒の時間を要したのが、三回目の実験では核酸添加食をたべているネズミは五〇秒に短縮したのであるこれは、核酸食が記憶学習力を高めた結果。2・5倍も早く目的地にたどり着いたということである。
この理由は、③の脂質代謝のところで述べたことだが、DHA(ドコサヘキサエン酸)が増えたことによる。
核酸RNAは記憶物質である。サイクリックーAMP(核酸成分)が記憶に関与している。アデノシン(核酸成分)に血管拡張作用があり、脳の血流が良くなった、神経伝達物質であるアデノシンの働きによるとかの理由が考えられる。
ちなみに、人間の場合も高核酸食で偏差値が40~60にアップしたとの体験例がある。
⑤善玉コレステロールを増やし悪玉を減らす
母乳や核酸成分添加粉ミルクで育った赤ちゃんは善玉コレステロールが多いが、粉ミルクで育った赤ちゃんは悪玉コレステロールが多いと報告されている。
また、コレステロール総量も母乳で育った赤ちゃんのほうが少ないと報告されている。
最近は、小学生の身体検査で糖尿病の検査も行うようになっている。
その理由は生活習慣病の低年齢化が現実の問題になっているからである。食生活の欧米化がその最大原因だが、赤ちゃんの時、核酸成分の少ない粉ミルクを摂っていたことも原因と考えられる。
⑥腸粘膜の増殖を活性化し、機能を高める
食道ガンで食道を取ってしまった患者は完全静脈栄養(TPN)に頼って生きている。
これには、現在知られている五大栄養素は完全に含まれているが、核酸は含まれていない。
高知医学大学の小越章平教授は、TPN下のガン患者の免疫力が弱いことから、それは核酸が含まれていないことに原因があると考え、TPNに核酸栄養OGを開発した。OGを食道ガンなどの患者に使った小越教授らの臨床例を見ると、免疫力がダウンしないばかりでなく、肝機能の向上、腸粘膜の増進の活性化と機能の向上に有効であることが確認された。
腸粘膜の総重量、タンパク量、核酸(DNA・RNA)量がOGを使うとTPNに比べ優位に増加することが確認されたのである。
また、空腸の絨毛が優位に高くなることも確認された。絨毛は異物(抗原)の体内への侵入を阻止する防波堤の役目をしている。
高核酸食が、絨毛の成長と、免疫抗体Aを増やすことで、生体内に異物が侵入することを未然に防いでいることは、われわれの研究でも明かになっている。
核酸の効果は以上だけでない。例えば、
- 鉄やカルシウムの吸収を良くする、
- 過酸化脂質の形成抑制作用、
- 骨髄機能の改善、
- 肝機能の改善血小板凝集抑制作用、
- 抗腫瘍活性、細胞賦活作用、痩身作用、
- アルコール代謝の改善などがあることが知られている。
- 核酸成分添加粉ミルクの登場が、核酸の有用性を一般的に認識されつつある。
⑦アレルギー改善
核酸はアレルギーの原因になる体液性免疫を弱め、細胞性免疫を強める働きがあることを、われわれは研究報告している。
インターフェロンγ(IFN-γ)やインターロイキン2(IL2)の産生を増やし、インターロイキン4(IL4)の産生を減らした結果、アレルギーの原因になる免疫抗体Eの分泌が抑制された結果である
。核酸はIFN-γを増やすためⅭ型肝炎やガンにも有効である。