不妊の主な原因の一つである核のDNA損傷不足によるミトコンドリアの劣化
晩婚化が進むにつれ、不妊に悩む夫婦も増えています。
不妊は男性と女性の両方で引き起こされる可能性がありますが、どちらもミトコンドリアの劣化に関連していると考えられています。
男性の場合、突然変異やミトコンドリアの劣化によるエネルギー産生の低下、活性酸素の増加による精子の運動性や数の減少が原因と考えられています。
男性の精子は鞭毛を動かして卵子に向かって泳ぎますが、ミトコンドリアは鞭毛の根元を鞘で包み、鞭毛と頭部をしっかりと接続しています(図1)。
女性では、ミトコンドリアの劣化による活性酸素種の増加により、卵巣疾患や卵子の質の低下が引き起こされます。
卵の中にある10万~20万個のミトコンドリアが壊れる際、DNA変異が頻繁に起こり、大量の活性酸素が発生します。
ミトコンドリアの活動を維持することは、活力の維持に直接関係します(図2)。
細胞の「オートファジー」とは、栄養状態が悪化すると自らを分解して食料として利用する機能ですが、劣化した細胞にも影響を与えて体を正常に保つ働きがあります。
分解されたミトコンドリアを標的とするオートファジーはマイトファジーと呼ばれます。
しかし、突然変異や劣化したミトコンドリアが増加すると処理が追いつかず、さらに状態が悪化します。
本来、活性酸素は体内に侵入した細菌を攻撃する重要な物質で、排卵時のシグナルの役割も担っています。
身体は活性酸素による酸化とその抑制・還元(レドックスホメオスタシス)のバランスを保つことが重要であり、
コエンザイムQ10などの抗酸化物質の摂取が推奨されています。
精子の運動性の正常化(ATPエネルギー)、卵子の質の改善、ミトコンドリアの若返りミトコンドリアの数減少を防ぐには核のDNAの元気をさせることは大事です。