骨の老化―リンとカルシウムだけ取ってもムダ
現代病の一つである腰痛―腰が痛くなるという症状も食事のせいであると私はいっても、おそらくあなたは本気にしないだろう。
というのも、腰痛は何かの拍子に腰に無理がかかった状態になったか、あるいは無理な姿勢で仕事をしたり、長い間、机に向って座って いたせいだとあなたは信じているからだ。
たしかに腰痛の直接の原因は無理な姿勢にある。しかし、腰痛を起こしやすくしているのは、まぎれもなく、間違いだらけ“現代風”の食事なのである。
結論を先に述べれば、 腰痛の原因は、いま氾濫している加工食品にある。加工商品―つまり、インスタント食品 冷凍食品、スナック菓子など―には、必ずといっていいほど、保存料が使われている。
この保存料に含まれるリンを過剰に取りすぎると腰痛になる。また、リンは、炭酸飲料にも使われている。
このように腰痛をひきおこす食品が、いかに多く私たちをとりまいでいるか、それらの食品を思い浮かべただけでも、おわかりいただけるだろう。
もともとリンは私たちの体には欠かさないミネラルの一種で、カルシウムとともに骨や歯の成分になっている。
ところが、ミネラル類はただ不足しないように取っていればいいと いうものではない。体内のミネラルの比率がある程度一定に保たなくてはいけない。
たとえば、リンとカルシウムは血液中で一対一の比率で保たれていないと、互いに正常 にはたらかない。
もしリンが多すぎると、カルシウムが不足してしまう。加工食品をよく 食べる人は、どうしてもこのカルシウム不足になりやすい。
すると、血液中でのバランスを保つため、骨や歯からカルシウムを溶かし出すのである。
つまり加工食品を取りすぎると骨や歯が非常にもろくなってしまうのだ。
あなたも一度ならず耳にしたことがあるだろうが、最近の子どもは非常に骨が弱くなっているという。 それこそ、信じられないことだが、ちょっとつまずいたぐらいでも足の骨を折ってしまうほどである。
これも加工食品にふくまれているリンの取りすぎが原因なのだ。
あなたの体は大丈夫だろうか。リンが不足したのではなく、多すぎることによって、リン とカルシウムのバランスが保てなくなってカルシウム不足に陥り、骨がもろくなっている。
その徴候は、骨粗しょう症、腰痛が増えているという事実にみられる。人類が二本足で立ちあがったとき 以来、いちばん多くの負担を担わせられてきた部分、すなわち腰に負担が表れるのである。
そして、これに拍車をかけているのが核酸の不足にほかならない。もろくなった骨の新陳代謝が促進できなくなるのである。
リンとカルシウムのバランスが、これほどまでに狂った時代というのは、人類史上、おそらくなかったのである。
天然の食品を食べている限り、このようなことはありえなかったのである。リンを含んでいる加工食品をこんなに食べている時代もない。
それだけに昔ならけっしてお目にかかれなかった。小学生の腰痛まで現れる始末である。
よく覚えておいてほしい。加工食品はあなたの骨と歯をもろくし、あなたの身体の老化を よりいっそう早める以上の何ものでもないということを―。
「老化は食べ物が原因だった;ノーベル医学生理学賞からの大発見」