視力の衰え―遺伝なんかまったく関係なかった
記憶力の衰えよりもはっきりした老化の徴候は眼に現われる。
その名もズバリ老眼が それ、いままで何の不都合もなく読んでいた新聞記事なのに、どうも最近活字がぼんやり としか見えないとか、ちょっとはなれた距離で見た方がよみやすいなど、これらは眼の 老化、つまり、老眼の徴候なのである。
同じように眼の老化は、白内障という症状であらわれることもある。
老眼は四十代に入ればほとんどの人がなるもので、新聞の一般記事や名刺の住所欄などが 読みにくくなる。
噂に聞いていた老眼とはこれなのかと、イヤでも自分の身体の一部の 老化をしらされるというわけだ。
まだ一方の白内障というのは、眼のカメラにたとえれば、 レンズにあたる水晶体が白く濁ってくる―これも必然的な老化の現われで、六十代になればだれでもが白内障の徴候に見舞われるといってもまちがいではない。
しかし老化の現われである老眼や白内障は、ある日突然、朝日が覚えたら、というぐあいに現れるものではない。
すでに二十代から徐々に老いはしのびよっているのである。
あなたには、こんな傾向がないだろうか。なぜか最近、書類や本を読もうとしても、すぐには眼の焦点が合わず、慣れるのにちょっと時間がかかるとか、細かい文字をしばらく眺めていると眼の前にぼんやりと白い霞のようなものが浮かんでくるとか。
これらの現象こそ老眼や白内障の前兆であり、眼に現われた老化のサインなのである。
たとえあなたがどんなに若くても、このような症状を覚えるようなら、まずまっさきにあなたが毎日食べている食事を総点検してほしい。
若いあなたの眼にもう衰えがきているとすれば、必要な栄養が不足しているにちがいないからだ。
眼のはたらきに関係している栄養素はたくさんあるが、私がとくに強調したいのは、タンパク質と核酸である。 タンパク質はレンズ、つまり水晶体と、その水晶体を調節してピントを合わせている筋肉の主成分である。 そして、このタンパク質の代謝をコントロールし ているのが核酸なのである。
タンパク質と核酸が充分補給されているなら、眼が悪くなるはずない
よく、一家そろってメガネをかけている家族がある。全員が近視で、親はそれに老眼が 加わったメガネ一家である。
このような場合、眼が悪いのは先祖からの遺伝と思われがちだが、実は遺伝ではなく間違った食事法が原因のことが多いのだ。
なぜなら近視の九十パーセント以上は後天的な仮性近視で、それはけして遺伝するものではないからだ。
家族の全員がメガネをかけているというのは家庭環境、つまり食生活が一家そろって偏っているせいである。
そのような家庭を良く調べてみると、食事からとるタンパク質や核酸がきわめて少ないというケースが多い。
彼らの多くは、十代ではじまった近親がさらに二十代になっても進行 し続けている。
いかも、同時に老眼や白内障も潜在的に進行しているのである。
このよに、眼に現われた老化は、メガネをかければそれですむというものではない。 眼にも現われると同時に体の内部の器官にも着実に老化がすすんでいることを自覚すべきだろう。
「老化は食べ物が原因だった;ノーベル医学生理学賞からの大発見」