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NMNとは?
NMNの正式名称はニコチンアノド・モノヌクレオチド」といい体内だけでなく、枝豆、ブロッコリー、トマト、アボカドなどに極微量に含まれています。
NMNは、ビタミンB3の一種でもあって、生体内のサーチュイン遺伝子を活性化させて、老化を抑制することが明らかになっています。
また、NMNは2020年3月の食薬区分改正で非医薬品リストに追加され、国内の市場で注目を集めているのです。NMNが特に注目されたのは、NHKスペシャルの長寿革命
番組で取り上げられたことによります。
NMNは抗老化成分
NMNはフレイル抑制やインスリンの働きを高める臨床データが登場し、NMN配合のサプリが上市されています。
フレイルとは、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。 しかしフレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。 高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症も引き起こす危険があります。
NMNは生体内で、ビタミンB3、ニコチンアミドと結びついて、エネルギー産生を担うニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を生み出します。
NADの前躯体はNMNのほかにも存在しますが、NMNはNADの直接の代謝産物であって、直接体内に吸収される物質のため、最も効果的NADブースター(効能を高める作用)とされています。特に大きく注目されるようになったのは大阪大学医学部によるNMN接種で、フレイル(高齢になって筋肉や体力が衰えた段階)改善の臨床結果を公表したからです。
また、NMN研究の第一人者で、アメリカワシントン大学医学部の今井眞一朗教授らは「NMNにおける、長寿遺伝子サーチュインの活性で寿命を延ばし、血糖値を下げ、中年太りを抑える」とアメリカの科学誌サイエンスに論文を発表しました。すぐさま、欧米系のメディアや日本でも広く取り上げられ大きな反響を呼んだのでした。
老化は病気
老化とは、一般的にエイジング、すなわち加齢、経年ともいいます。
老化現象は徐々に現れてくるのですが、それを自覚するのには個人差があるうえ、暦の上の年齢とは一致しません。
老化の病状を一概にいいますと、若い人が精神的、肉体的の活動をして、疲れたときと同様です。
また、老化した体内では細胞の数が減り、例えば九人でやる野球を七人でやるといった状態です。老化現象は多岐多様で、単純に萎縮とか、変性とかいうだけでは表現できず、各器官系についてだけではなく、一つの器官系についてだけではなく、一つの器官系の個々の部分についても別々に考える必要があるのです。
タンパク質はもちろん、一般にコロイドといわれるものが、生物と同じように老化することは以前から知られています。
要するに老化とは、ハイルブランの説のように「原形質の変化、したがって個々の細胞に生じた変化」の結果で、タンパク質が環境に対して適応していき、その環境に
適していき、その環境に適した構造が強固となり、他の構造への移行が困難になって融通性が失われた状態、すなわち適応の行き過ぎとも要約できます。
肉眼的には、あらゆる器官、組織の大きさの現象と萎縮であり、顕微鏡的に、自質細胞の数的減少、大小のバラつき、配列の不整がみられます。細胞内に特にリポフスチンや色素、カルシウムなどのミネラル、脂質などの不溶性物質(いわゆる後形質)が蓄積します。
また、別の観点からは、老化は予備力の衰退、ホメオスタシスの低下した状態ともいうことができます。
老化現象を研究するには、人間の老化に関するいろいろな事実を、先入観なしに把握することと、動物実験、臨床実験による研究を重ねて考案する必要があります。
具体的には、分子生物学、細胞学、遺伝子学、免疫学、生化学、栄養学、代謝学、内分泌学などからの研究が行われます。
少しむずかしいことを述べましたが、老化は加齢と共に起こる体のありとあらゆる臓器機能、生態能力の不可逆的な衰退を意味するのです。
一般的に老化現象とは、成熟期が過ぎて何らかの衰退が始まり、死によって終わる、生物の一生の中の後半期以後の正常状態をいうのですが、最近では、老化は正常状態ではなく、病態生理学的なものであるとの意見も有力になってきました。
ハーバード大学医学大学院のデビッド・A・シンクレア教授は、著書「老いなき世界」で「老化は病気である」と述べています。
NMN効果---NADを増加させる
すでに述べたようにNAD(ニコチンアミドアデニンヌクレオチド)はあらゆる生物の細胞に入っています。そして、エネルギーを発生させるときに使用される。体内の代謝の源であるのです。
しかしながら、NADは齢をとれば体から減少していきます。NADそのものを摂っても細胞には取り込まれません。
そこでNADの前躯体である、NMNを摂ることが重要なのです。長寿遺伝子サーチュインの一つ「SIRT1」はNADを使うことで、脳のある視床下部の神経細胞を活性化し、全身のいろいろな機能を回復させてくれます。
人間だけでなく、あらゆる生物は年齢と共にNADが減少していくわけですが、NADが限界に達することで、いろいろな神経細胞やインスリンを分泌している膵臓のβ(ベータ)細胞などで障害が発生します。
それらの細胞を通して他の臓器や組織に問題が広がっていくのです。前出の今井教授は、それが老化と捉えられる現象なのだろと考えられています。
NMN効果---フレイルの抑制
フレイルとは「もろさ」、虚弱を意味する英語のfrailtyからきている「健康と病気の中間的な段階」で、提言では、75歳以上の多くの人はこの段階を経て要介護状態に陥るとされています。
高齢になるにしたがい、筋力が衰える現象は「サルコペニア」とよばれ、さらに生活機能が全般的に低くなると「フレイル」となるのです。
日本老年医学会は、高齢になって、筋肉や体力が衰えた段階を、「フレイル」と名付けて予防に取り込むとする提言をまとめたのです。これまでは、フレイルのことを「老化現象」として見過ごしてきましたが、日本老年医学会が統一した名称をつくることで、医療や介護の現場における意識改革を目指したわけです。
アメリカの老年医学会の評価法では次のような報告されています。
(1)移動能力の低下 (2)握力の低下 (3)体力の減少 (4)疲労感の自覚 (5)活動レベルの低下
これら5項目のうち、3つが当てはまると、このフレイルの段階に認定されます。
国立長寿医療センターの調査によれば、65歳以上の高齢者500人のうち11%が該当したと報告したと報告をしています。
フレイルの提言を作成した、京都大学の荒井秀典教授は「適切に対応すれば、心身のよい状態を長く保つことができるという考えを浸透させたい」と話しています。
大阪大学医学部の中神啓徳教授は、NMN摂取による、フレイルの改善効果を公表しています。
NMN摂取による、フレイルを伴う糖尿病患者に1日250mgを6ヶ月間投与したところ、NMN投与郡で歩行速度と握力が改善傾向を示したということです。
NMN効果---メタボよりこわい、サルコペニア肥満
サルコペニア(加齢性筋肉減弱症)とは、加齢とともに筋肉量や機能が低下する現象をいい、サルコは筋肉、ぺニアは喪失という意味があります。
(1)筋肉量の低下 (2)筋肉の低下 (3)身体能力の低下
このうち一つでもどれかに当てはまる段階のことです。そして、サルコペニアはダイエットによっても起こります。運動もせずに食事量だけ減らして、ダイエットをすると、筋肉量は減少してしまうので注意が必要です。
また、痩せた人のサルコペニアと比べ、肥満を伴ったサルコペニアの方が身体不安定が強く、移動能力に悪影響をおよぼすことが報告されています。その状態のことを「サルコペニア肥満」といいます。
その原因として筋肉量の低下により基礎代謝が低下し、肥満が進行し、移動能力が低下し、さらに筋肉量が低下するという負のスパイラルが考えられています。
サルコペニア肥満になると歩行動作などの日常生活における活動能力の低下に影響を与え、寝たきりや、要介護になる確率が高くなります。
東京大学医学部と富山大学医学部の研究によれば、NMNの摂取で筋肉と握力の改善傾向が認められたと報告をしています。
NMN効果---2型糖尿病に劇的な作用
アメリカ・ワシントン大学医学部の今井眞一朗教授は「マウスの実験で、老化によって起こる代表的な疾患である、2型糖尿病に劇的な作用がある」と発表しています。
そして「少なくともマウスではっきりとNMNが抗老化作用を示すこともわかった」と述べている。
マウスも人間と同様に歳をとると中年太りになりますが、NMNを飲ませ続けたマウスは体重の増加幅が小さかったのです。
タイプ | 糖尿病の中での割合 | 原因 | 発病の仕方 | 発病する時期 | 主なの治療 |
1型糖尿病 | 5%以下 | 膵臓がインスリンをほとんど作れなくなる(原因は自己免疫など | 急激な発症 | 小児気が多い | インスリン注射 |
2型糖尿病 | 95%以上 | 膵臓の作るインスリンがたりない(体質)または筋肉や肝臓でインスリンが十分に働かない(肥満運動不足などによる) | ゆっくり発症 | 中高年が多い | 食事療法
運動療法 薬物療法 |
つまり、エネルギー代謝の効率がよくなっていて、食べる量が多くても、エネルギーが代謝されやすい状態になっていたからです。
また、骨格筋の中のミトコンドリアという細胞の中の小器官の働きも高まっていたこともわかったのです。
その他にも「インスリンの感受性がよくなって、血中の脂肪の値も改善しました。目にある網膜の神経細胞の働きが活発になり、骨密度が高まり、免疫細胞の数も多くなっていました」と述べているのです。
まさにNMNはいいことずくめの成分です。
ところで、糖尿病は「かくれた殺し屋」といわれるぐらい、本人がほとんど気がつかない、怖い病気です。アメリカの糖尿病研究所ジョスリン博士は
「糖尿病は治らないが、コントロールできる病気である」ともいっています。したがって、一日も早く発見して、コントロール体制に入ることが大切です。糖尿病には1型と2型の二つがあります。
1型糖尿病は、膵臓β細胞が破壊され、インスリンの分泌が極端に減って発病します。
しかし、日本人に圧倒的に多いのは、2型糖尿病で全体の約95%を占めています。
2型糖尿病の特徴は、過食や肥満、運動不足によって食後高血糖の状態が数年続き、やがて膵臓から分泌される、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌量が不足したり、効き目が低下したりして発病します。
糖尿病で怖いのは合併症がおこることです。
NMN効果---アルツハイマー型認知症の改善
高齢化社会の突入した日本で、大きな社会問題がアルツハイマー型による認知症です。NMNの投与により、認知機能の低下が抑えられ、アルツハイマー型認知症の改善につながる研究成果が次々と報告されています。
「NMNの投与によって、脳の中でもNADが増えて、長寿遺伝子が活発化すると、脳細胞の老化と細胞死を防ぎ、健康の維持や回復にもつながるのではないかと期待されます」と述べています。
NMN効果---ミトコンドリアの働きが高まる
高齢化してくると20代の頃と比べて筋肉をはじめ総じて老化を感じるようになってきます。
これは加齢によって代謝が低下しているといわれますが、最近では加齢のせいというよりもむしろ「ミトコンドリアの減少」は関係していると考えられるようになりました。
私たちの体に必要な「生体エネルギー」を産生しているミトコンドリアは放っておくと約40歳代位から減少して、体の機能が衰えてくるのです。
NMNを利用することで、骨格筋の中のミトコンドリアという細胞の中の小器官の働きが高まることで老化を防いだり、免疫力を高めるという効能があるのです。
NMNの効果効能
NMNの効能については、ワシントン大学医学部の今井眞一朗教授、大阪大学医学部の中神啓徳教授などが報告をしています。それを具体的にのべておきます。
- 老化の抑制
- 2型糖尿病の改善
- 肌の若返り作用
- フレイルの抑制
- 認知症の改善
- ミトコンドリアの働きを向上
- 肥満の改善
- 免疫力を高める
- 全身の機能を高める
- 骨密度の高まり
- 学習能力の向上
- 活性酸素の低減
- 血管機能の改善
- 生殖能力の回復
- 筋肉と握力の改善 他。
サーチュイン遺伝子とは
サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子または長生き遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされる。
サーチュイン遺伝子の活性化により合成されるタンパク質、サーチュイン(英語 Sirtuin)はヒストン脱アセチル化酵素であるため、ヒストンとDNAの結合に作用し、遺伝的な調節を行うことで寿命を延ばすと考えられている。
この様なサーチュインの作用メカニズムはマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテのグループが1999年に見出した。
酵母のSir2遺伝子がヒストン脱アセチル化酵素であることを見出し、この酵素の作用が代謝や遺伝子サイレンシング、加齢に関与していることを示唆した。