目次
糖尿病の種類
若年型と成人型
糖尿病は、ウイルス感染によってすい臓のインシュリン分泌能力が壊滅してしまうためにおこる、“若年型糖尿病“と、遺伝、間違った食生活、肥満などが総合的にからみあって発病する"成人型糖尿病"に大別される。
後者は中年以降に発病することが多いために“成人型”と呼ばれているわけだが、近年は食生活に行き過ぎた欧米化によって小児や青年の“成人型”糖尿病も増えており、病名が不敵切になりつつある。
我が国の糖尿病は大部分“成人型”であり.
糖尿病の原因
糖尿病は一般に、すい臓からインシュリンの分泌が減るためにおこると考えられている。
しかし糖尿病予備軍及び中期までの糖尿病の人を調べてみると、インシュリンそのものは正常に分泌されているのに血糖値は高いという人が少なくない。
このようなタイプは、“インシュリンレセプター活性低下型“と呼ばれ、糖負荷テストの際に血糖値と同時に血中インシュリン濃度も測定することにより、インシュリンの分泌が悪いタイプと簡単に区別できる。
もちろんインシュリンの分泌低下とレセプター活性の低下が同時におこっている人も多い。
初期の糖尿病のこれら要素のうち、レセプター活性の低下は、肥満、血中脂質の過剰、運動不足、クロムや亜鉛など必須(ひっす)ミネラルの欠乏等によっておこることがわかっている。
一方、インシュリンの分泌不足には遺伝がかなり深くかかわっている。
つい最近、糖尿病を引きおこす遺伝子欠損の一つが解明され、遺伝子治療による糖尿病根治に道が拓けたと新聞報道されたのは記憶に新しい。
しかし糖尿病の遺伝を持っている人でも、発病するのは中期以降のことが多く、しかも甘い物を食べ過ぎている人ほど糖尿病になりやすい、一方、家系的に糖尿病遺伝子を持っていると思われる人でも、健康的な食生活を送っていれば、一生発病しない人が多い。
さらに、糖尿病になってしまった人でも、食生活の改善と適度の運動、そして補助食品の適切な使用により、糖尿病が完治してインシュリンの分泌が正常にもどるケースがかなり多い。
これから考えるに、糖尿病が遺伝病であるというのはそれほど深刻に考える必要はなく、単に、“すい臓のインシュリン分泌機能がオーバーワークによって損傷を受けやすく、回復しにくい体質“を伝えているだけのようである。
むしろ「(成人型)糖尿病は食源病」と考えるほうが正しいとらえ方であろう。
糖尿病の経過
あまり知られていないが、成人型糖尿病の人に一部は、糖尿病になる前に低血糖値を経験している。
砂糖などの吸収の早い糖質を多様に食べると、血糖値は急激に上昇する。
するとすい臓は多量のインシュリンを分泌し、血糖値を下げようとするのだが、こうして多量に分泌されたインシュリンの分解が間に合わなくなってしまい、一時的に血糖値が下がり過ぎてしまうのである。
私たちの体は、血糖値が上がると元気になり、血糖値が下がると食欲を感じ、下がり過ぎると疲労を感じる仕組みになっている。
「甘いものが好きで、食べると元気になるのだが、一、二時間もするとかえってグダッと疲れていまい、またむしょうに甘い物が食べたくなる」という人はまさにここで説明した状態にあるわけだ。
このようにすい臓がオーバーワークを繰り返し、さらに遺伝子損傷といくつかの微量栄養素の不足が重なると、ついにすい臓はダウンして糖尿病になり始める。
一方“インシュリンレセプター活性低下型”の人の場合は、すい臓が正常にインシュリンを分泌しても血糖値がなかなか下がらない。
そこですい臓はインシュリンが足りないのだと思いこんで、オーバーワークを繰り返し、前述と同様にすい臓の機能がダウンしてしまう。
そのため、レセプター活性低下型糖尿病の人も、進行するにつれインシュリンの分泌が減ってしまうのが普通である。
どんな原因にしろ、高血糖が持続すると以下のような糖尿病のさまざまな症状・障害が出てくる。
糖尿病症状:①疲労感
糖尿病では血液中のブドウ糖は多いが、それが細胞の中に十分入らない。ブドウ糖は人間の細胞が使っている最も主要なエネルギー源であり、
これが不足すると細胞はエネルギー不足になって強い疲労を感じるようになる。
糖尿病症状:②活性酸素の増加、動脈硬化
細胞内のブドウ糖不足が深刻になると、細胞はエネルギーを得るために脂肪やタンパク質を燃やし始める。
しかし脂肪を完全燃焼させるためにはある程度の糖質が必要で、糖尿病患者の場合は不完全燃焼をおこしやすい。
この時、さまざまな有害代謝産物と大量の活性酸素が発生する。そして活性酸素は連鎖反応式に過酸化脂質や酸化型コレステロールを作り出し、これらが全身の血管の動脈硬化を急速に進行させる。
③糖化タンパク質の増加、のどの渇き、多尿
上記の活性酸素の害と同時に、血液中の多過ぎるブドウ糖は別の障害を引きおこす。
人体は大部分が水とタンパク質で作られているが、高濃度のブドウ糖が人体のタンパク質を変質させ、糖化タンパクという異常なタンパク質が増え始め、神経などに悪影響を与える。
また、血液が過剰な糖分で濃くなり過ぎるため、浸透圧によって全身の細胞の水分が血液中に移行する。
その結果、細胞は脱水状態になり、やたらにのどが渇いて水分が欲しくなる。
一方、血液が多くなり過ぎるので、腎臓は尿量を増やして血液の量を適正に保とうとするが、このような状況では腎機能も正常に働くはずもなく、体に必要な栄養素も尿と一緒に大量に失ってしまう。
糖尿病症状:④合併症
上記①から③の状態が長期間続くと、さまざまな重大な合併症が進行する。
最も代表的なのが腎臓障害、糖尿病網膜症、神経障害、下半身の動脈閉塞による壊疽(えそ)、心筋梗塞、脳血管障害などである。
糖尿病症状対策
糖尿病対策1生活上の注意
①糖尿病治療の基本は、食餌療法と運動療法であり、適度な運動は絶対必要である。
初期から中期までの糖尿病は、継続的に運動するだけで治ってしまうことすらある。医師に指示に従うこと。
②ストレス・・・・すい臓はストレスによって悪影響を受けやすい臓器のひとつであり、完治するまでできるだけストレスを避けたほうがよい。
③飲酒。喫煙・・・・飲酒の最大の問題点は、全体的なカロリーコントロールを困難にすることである。
少量(体質にもよるが日本酒換算0、7合以下)の飲酒は、全体のカロリー摂取がコントロールされ、必要な栄養が満たされていればそれ自体ではあまり悪影響はないようです。
しかし「つい飲み過ぎてしまう」というひとは禁酒してしまったほうがよい。
一方、禁煙は、体内の有害な活性酸素を増やすので糖尿病にも良くない。禁煙すべきである。
糖尿病対策:食生活の注意
最も重要なのはエネルギー摂取のコントロールであり、医師から指示されたカロリー制限をしっかり守らなければならない。
しかし同じカロリー数であっても明らかに糖尿病の改善に役に立つ食事と、徐々に悪化させる食事がある。
主食として最もよいのは、玄米、五分づき米、全穀粒パン、スパゲティなどである。
これらは白米や白パン、普通のうどんなどに比べてゆっくり消化吸収されるため、血糖値の上昇もゆるやかになり、すい臓の負担が著しく軽くなる。
もしどうしてもこれらが嫌いというのであれば、食事の直前か直後に充分な量の食物繊維の補助食品を摂ればほぼ同量の効果がる。
それ以外は、糖尿病メニューに関する参考書が多数市販されているので、それらを参考にメニューを組み立てればよい。
大部分の野菜、キノコ、海藻はミネラル等を豊富に含み非常に低カロリーなので、できるだけたくさん食べるよい。
また貝類は、低カロリー高タンパク高核酸の食品なので積極的に食べるとよい。
なお、市販の糖尿病食の参考書の中には、カロリー制限の範囲内であれば砂糖、甘いお菓子、普通の清涼飲料などを飲食してもよいとかいているものがあるし、医師でも同様のことをいう人がいる。
しかしこうしたコメントは、食事制限が厳し過ぎて患者が投げ出してしまうことを恐れてのことである。砂糖などの易吸収性糖質をたとえ少量でも摂り続けていると、疲れきったすい臓はなかなか回復しない。
最近は良質な低カロリー甘味料やほとんどノンカロリーの清涼飲料などが多数市販されているので、その気になれば甘さを楽しみながらでも砂糖をカットすることが可能である。ぜひ実行していただきたい。
糖尿病対策:補助食品
①糖尿病予備軍~中期までの人(インシュリン注射に至っていない人)
※ビタミン・ミネラル・・・・
特にビタミンⅭ、E、B6、B2、マグネシウムは最も重要で、しっかり摂取する必要がある。
インシュリンレセプター活性低下型の人は入手できるならGTFクロムの補助食品を摂るとよく効く。同時に亜鉛とマンガンも欠乏させてはならない。
※核酸・・・・
中期までの糖尿病の人では、すい臓のインシュリン分泌細胞(ランゲルハンス島β―細胞)がまだ残っている。
こいう人はすい臓のインシュリン分泌の負担を軽くすると同時に核酸を摂取すると、インシュリン分泌細胞の再生増殖が活発になり完治する可能性がある。
核酸成分や核酸の代謝産物はいずれも強い抗酸化作用をもっている。
たとえすい臓の機能が完全に回復しなくても、核酸摂取は活性酸素の害を減らして合併症の進行を抑えるのに大変役立つ。
さらに、核酸の構成成分のひとつにアデノシンには、血管を拡張して血流を増やす作用や、インシュリン様の血糖降下作用があり、こうしたアデノシンの作用も核酸摂取によって糖尿病が好転する理由の一つであろう。
目安1日1000~2000mg摂るとよい。
※たんぱく質・アミノ酸・・・・
糖尿病の人は前述のとおり、体たんぱくの消耗が激しい傾向があるので、健康人より多量にタンパク質を摂った方がよい。
食餌療法の中でタンパク質摂取を確保するのが難しい場合は、粉末状のプロテインを一日大サジ山盛り1~3杯食べるとよい。
※大豆レシチン・・・・
糖尿病の人はすでに述べたように動脈硬化が進行しやすい。
血液検査で総コレステロールが高かったり、総コレステロールは正常でもHDLコレステロールが低い人は、他の栄養摂取と同時に大豆レシチンを一日10~30g摂ると、脂質代謝を改善し動脈硬化の進行を逆転させられることが多い。
ただしレスチンはかなりカロリーがあるので注意のこと。
※ギムネマ・・・・
インド原産の薬草であり、我が国ではダイエット食品として市販されている。
乾燥葉換算で一日3gくらい摂ると小腸からのブドウ糖の吸収をゆるやかにさせる働きがある。
その結果、食後の血糖値の上昇もゆるやかになるので、すい臓の負担を大幅に軽くする。
注意点としては、食事と同時に摂ることと充分量のギムネマを摂ることである。
ダイエット食品として市販されている物の中には、ギムネマの含有量の少ないものもある。
なお、まれにギムネマで胃痛、吐き気などを感じる人がいる。
これはアントラキノンという緩下成分を含むためである。流産しやすい体質の人は、妊娠中はギムネマを摂らないほうがよい。
※SOD様物質・・・・
天然にはSOD様の抗酸化作用を持つ成分がたくさんあり、それらを特に多く含む健康食品も市販されている。
糖尿病の合併症の多くは活性酸素によって引きおこされるので、SOD様物質は大変有用である。
使用料等についても各製品の販売元や取扱い店等に相談すること。
※食物繊維・・・・
玄米や全穀粒パンなどを主食にしていればかなり摂取できるが、それができないという人はぜひ補助食品として摂るべきである。
水溶性と非水溶性があるが、両方合計10g以上摂取するとよい。食事と一緒にとること。
※中期以降の糖尿病の人(インシュリン投与を受けている人、合併症のある人)必要な補助食品は前項と同じであるが、増量が必要である。
※ビタミン・ミネラル・・・・
活性酸素による障害を軽くするために、抗酸化栄養素を多量に摂るべきである。
また代謝の乱れと多尿によって多くの栄養素が尿から失われるので、ほとんどの微量栄養素を多めに摂った方がよい。
具体的には、ビタミンは保険量の上限の倍、ミネラル類は上限の量をとるとよい。ただしレチノールとビタミンⅮは上限までとする。
※核酸・・・・サケ白子エキスとして一日2000~3000mgを摂取するとよい。
※レスチン・・・・進行した糖尿病患者は、大部分の場合、動脈硬化が進行しているので、一日20~30gの粉末大豆レスチンを摂るとよい。
※タンパク質、ギムネム、SOD様物質・・・・前項の“中期までの糖尿病”向けのコメントを参照し、同量か適宣増量するとよい。
注意事項
インシュリンの投与を行っている糖尿病患者は、これらの栄養療法実行するにあたって細心の注意をはらうこと、栄養素の補給によってインシュリンの自己生産が回復したり、レセプター活性が増加し始めると、それまで適正量だったインシュリン投与が結果として過剰投与になり、インシュリンショック(低血糖発作)を引きおこすことがある。
その場合、インシュリンの単位数を減らさなけばならないが、自己判断でインシュリンの単位数を減らすことは厳禁である。栄養療法の手応えを感じ始めたら、必ず医師と相談したうえで単位数を減らすこと。
<用語の解説>
◎インシュリン・・・・すい臓のランゲルハンス島βー細胞という部分から分泌されるホルモン。血糖値が高くなると血液中に放出され、血液中のブドウ糖を全身の細胞に取り込ませる働きをする。
◎インシュリンレセプター・・・・全身の細胞にあるインシュリンの受容体、
細胞にブドウ糖を受け入れる回転ドアだと考えるとわかりやすい。普通は鍵がかかっていて、この鍵を開けるのがインシュリンである。インシュリンがいくらあっても、カギ穴がサビついていたり、回転ドアがまわりにくくなっていたり、ドアそのものの数が減っていると、血液中のブドウ糖が細胞の中に入ることができない。これがインシュリンレセプター活性低下型の糖尿病である。
◎血糖値・・・・血液中のブドウ糖の量、健康な人の場合、80~110mg/dlに保たれている。
◎インシュリンショック(低血糖値発作)
インシュリンが相対的に過剰になり過ぎつと、血糖値が急激に下がり、脳細胞が正常に活動できなくなるためにおこる。
重症な場合は意識不明になって事故の原因になったりする。
素人判断は厳禁!必ず医師のアドバイス
すでに病気になってしまった人は、先の述べたように核酸を含むすべての必要な栄養素を“保険量”の上限レベルでまんべんなく摂取し。
場合によっては特定の栄養素をさらに増量すると、速やかな健康回復に大変役立つ。
また病気とはいえないまでもさまざまな症状で悩んでいる場合にも、ほぼ同様のことがいえる。
そこで病気や症状別に、参考となる最小限の情報を以上ににまとめた。ただし注意していただきたいのは、素人判断で自分の病気を診察して医者に行かずにこれらを実行したり、医者からもらった薬を勝手にやめたり減らさないことである。
できれば担当医の承諾を得たうえで実行するのが理想的であり、それが無理でも明らかに健康を損なっている状況の時は必ず医師の診断を受け、あわせてこれらを実行していただきたい。
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