目次
●生命維持に欠かせないビタミン
●ビタミンは身体を働かせるてんかプラグ
設計図があり、大工さんがいて、建設材料は揃ったら、次に必要なのが大工さんの使う道具です。健康な身体を作るためになくてはならない道具、それがビタミンやミネラルです。
微量栄養素ともいわれます。この道具のうち、まずビタミンについて考えてみましょう。ビタミンとは生命の維持に必要な有機物質で、身体の機能が正しく働くために欠かすことのできないものです。
ほとんどのビタミンは体内では合成できないので、食品やサプリメントから摂取しなければなりません。
重要な栄養素の一つであるビタミンは補酵素としての作用、代謝を調節する作用などが知られており、さらに抗酸化作用や細胞と細胞の間で情報を伝達する働きがあることもわかっています。人間がエンジンだとすれば、それを始動させるてんかてんかプラグの役割を果たしているのがビタミンなのです。
●コラーゲンの形成に重要なビタミンC
各種あるビタミンのなかで、核酸、コラーゲン、ムコ多糖類との関わりでとくに重要なものがビタミンC、ビタミンB群です。
ビタミンCはコラーゲンの形成に主要な役割を果たしているビタミンです。水溶性で、優れた抗酸化作用を持っています。そして私たち人間の身体の中では作りだすことができません。
ビタミンCに関して、有名な話があります。昔、船乗りが長期間の航海でかかる病気に血管壁が弱くなって出血し、死に至る壊血病がありました。その原因は、長期の航海で生野菜を食べられないことから起きるビタミンCの不足だといわれていました。
しかし、最近の研究でわかってきたことは、実はビタミンCが足りないために起こるコラーゲン不足、それが壊血病の真の原因だったということです。
●核酸という自動車を必要に合わせて船や飛行機に変える
ビタミンCは、痛風(高尿酸血症)の時に、尿酸が尿細管から再吸収されるのを抑制して、尿酸を排泄することによって血漿尿酸値をコントロールします。
また、ガン細胞の中にラップ1というタンパク質が増えるとガン細胞は縮小して、だんだん自滅していきます。これは生理学的には、ガン細胞でATPの代謝物であるC-AMP(サイクリックAMP)が増えると、ラップⅠタンパク質が増えるというメカニズムです。このATP→〓-AMPの代謝にビタミンCが関与しているのです。
核酸は、血液によって身体の隅々まで運ばれ、毛細血管から出て、コラーゲンの道を通って細胞に到達します。
この道路の役割をするコラーゲンを作るための道具、それがビタミンCなのです。また、ビタミンCもう一つの役割はわかりやすくいえば、核酸を自動車にたとえると、必要に応じて自動車を飛行機や船舶に変えて目的を果たさせるのも、ビタミンCというわけです。
ですから核酸とともに、コラーゲン、ムコ多糖類、ビタミンCを一緒に摂取することが重要です。
●ビタミンB群は併せ摂ると効果が大きい
身体を健康にするための重要な道具としては、ビタミンB群も重要です。水溶性のビタミンなので、余分に摂取しても貯蔵されず排泄されます。ですから毎日補給する必要があるビタミンです。
ビタミンB群にはB1,B2,B6,B12などがあり、これらは個別に摂取するよりも、併せて摂取することで、より大きな相乗効果を発揮します。これが大きな特徴です。
ビタミンB1は補酵素として働き、炭水化物やアミノ酸の代謝に働きます。中枢神経、末梢神経の機能を正常化します。また筋肉、心臓の機能を正常に保つことにも働きます。成長を促す働きもします。神経系、精神状態によい影響をもたらすビタミンともいわれています。皮膚や粘膜の健康にも欠かせません。
ビタミンB2は発育のビタミンともいわれます。発育、成長に欠かせないもので、他のビタミンなどに協力してタンパク質、炭水化物、脂質の代謝に働いています。皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせない存在です。
ビタミンB6は、核酸を正常に合成するのを促します。またアミノ酸の代謝に関与する酵素の働きを助ける補酵素としても重要です。抗体や赤血球を作るにも欠かせないビタミンです。ビタミンB12は、動物性食品に含まれる水溶性のビタミンです。
赤血球の形成を助ける、成長を促進する、炭水化物、脂質、タンパク質が適切に代謝されるようにするなどの働きがあります。
また神経系の健康維持にも役立っています。核酸だけを摂取するのではなく、前述のコラーゲン、ムコ多糖類、ビタミンCと併せてこれらのビタミンB群もバランス良く摂取することで、相乗効果が期待できるのです。
生命活動のカギになるミネラル
私たちの生命活動の根源を支えるミネラルは、さまざまな生理活動、代謝の調節、酵素の作用に関係して、重要な役割を果たしています。海水には92種類のミネラルが含まれていますが、私たちの身体にも同様に92種類のミネラルが含まれています。
私たちの身体は、さまざまな元素で作られていますが、そのなかで炭素、水素、酸素、窒素を除いた元素のことをミネラルといいます。
栄養学では、無機質と呼ばれています。ミネラルのうち、日本で栄養所要量の数値が示されているのはカルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、ヨウそ、銅、亜鉛、セレン、クロム、モリブデンの13種類です。
この他のミネラルも、何らかの働きをしているはずなのですが、なかなか研究が進んでいないのが現状です。ミネラルは、カドミウムや水銀などのように、過剰に摂取するとイタイイタイ病や水俣病の原因になるものもあるので、研究の進展が待たれます。
●じわじわと生命力を削ぐ、ミネラル不足
ミネラルは、動物では内臓や骨、植物では胚芽などに多く含まれています。
しかし、最近の食生活では、野菜はハウス栽培されたものばかりが目立ちますし、魚を丸ごと食べることも少なくなっています。十分なミネラルを摂取することがなかなか難しくなっているのが現状です。
ミネラル不足の悪影響は、1年、2年という時間をかけてジワジワと現われて、私たちの生命力をむしばみます。すぐに悪影響がでない分、体調がすぐれなくなっても、その原因がミネラル不足だとは分からないことも多いのです。