生命の神秘
エイズウイルス等のごく一部のウイルスはDNAがなくRNAしか持っていないが、人の細胞はDNAとRNAの両方をもっている。
親から子、子から孫へと遺伝形質が伝わっていくのはすべてDNAに支配された出来事である。
DNAとは、生命そのものであり、生命の本質(必須)物質である。
生物の遺伝には法則性あり、遺伝子が存在することがはっきり認識されたのはメンデルによってであり(メンデルの法則)、1886年のことである。
これはミーシェルのDNAの発見と偶然にも同じ時期のことである。
遺伝子の本体である核酸の構造がほんのわずかでも変化すれば生体に重大な悪影響を及ぼすであろうことは容易に推察される。
実際、DNAの損傷により異常タンパク質の蓄積が起こり、それが原因で老化現象、ガンなどの病気になることが知られている。
そういった損傷を予防するために生体が持っているDNA防御機構は非常に優れたものがある。
DNAは二本の鎖が対になったらせん状のものだが、そのままでは放射線や食品中の発ガン性物質によってすぐに攻撃されて損傷を受ける。
しかも現代のような食生活、ストレス社会、地球環境においてはそういった危険率が非常に高い。
そこでDNAは自らの表面積をできるだけ小さくして、そのような危険にさらされないようにしている。
DNAは直線に延ばすと2メートルもの長さになる細い糸状のものだが、実に8400分の一もの圧縮率でコンパクトに折り畳まれている。
二メートルの背丈の人が0,2ミリまでに縮まっている姿(実際には不可能だが)を想像すればよい。
生物が生き延びるためには子孫を残す必要があり、そのためにも大事な染色体がこのようは方法で守られていることに「生命の神秘」を感じる。
しかし、そういった防御機構が打ち破られ、DNAが絶えず損傷を被っていることが最近の研究から明らかにされた。
毎日、数十から数百個の細胞がガン化している。あなたもわれわれも日々、ガンの危険にさらされているわけだ。
それではなぜガン患者がそれほど多くはないのであろうか?との疑問が湧く。
それに対しても、生物は見事なまでの解答を用意している。
それは、損傷を受けたDNAを修復する能力を生物が持っているからである。
ガン化した細胞を元の正常細胞に戻す能力のことである。
当然ながら、このDNA修復能が寿命と大きなかかわりを持っている。しかも核酸食がそのことに非常に重要な役割を果たしているのだが、それについては後でくわしく述べることにする。
核酸の化学
ここで少々眠たくなる話で恐縮だが、避けるとかえってわかりにくくなるので「核酸の化学」についてすこし触れることにする。
今の高校生はすべて習っていることだが、年配者には初めてのことで少々わかりにくいかもしれない。
核酸は糖や脂質、タンパク質と同様に生体内で高分子状態で存在するが、その単位成分は図2-3に示されるようにヌクレオチド「NY、(塩基+糖+リン酸)」構造を持っている。この単位成分をモノヌクレオチドと言う。
このNT(ヌクレオチド)からリン酸が外れたものをヌクレオシド「NS、(塩基+糖))」さらに糖(五炭糖)が外れたものを塩基と言う。
DNAとRNAの違いは糖の構造にあるが、DNAを構成する塩基はアデニン(A)、グアニン(G)シトシン(Ⅽ)チミン(T)の4種類だけであり、一方、RNAを構成する塩基はA、G、Ⅽ、ウラシル(U、DNAのTに相当)の4種類である。
環が二つあるAとGをプリン塩基、環が一つのⅭ、Tをビリミジン塩基という。
DNAとRNAではTとUの違いと糖の違いしかない。RNAはこれから塩基の構造がすこし変化した誘導体も含んでいる。
核酸はNT(ヌクレオチド)が数千から数十万個鎖状につながった糸状の高分子(ポリヌクレオチド)であり、各種塩基がいろいろな順番で並んでいる。
この塩基の並び方(配列)は様々であるが、遺伝、タンパク質合成その他の生体にとって重要な情報はこの配列の仕方によって身体の形、大きさ、寿命など、ありとあらゆるものが規定されている。
人間と他の生物との違いはもとより、一人一人の個人差もすべてこの塩基の並び方の違いによっている。
RNAはこのDNA上の塩基配列を読み取って、先に述べたタンパク質合成などを指令する。
このように、生物の違い、人間同士の顔・形などの違いは塩基の配列の違いにあるのであって、核酸の単位成分であるモノヌクレオチドはすべて共通である。
細菌も、植物も、昆虫も、魚も、犬も、人間も、生きているものはすべて同じモノヌクレオチドが構造である。
生物の遺伝子本体の単位構造がすべて同じであることが、地球上における生物は、すべて同じ起源から進化したとする進化論の根拠にもなっている。
DNAは二本の鎖がお互いに向き合って緩やかに結合した二重らせん構造を取っている。
1953年に、ワトソンとクリックがDNAの構造を解明したことによってノーベル医学生理学賞を受賞したことは非常に有名である。
ポーリングがノーベル平和賞、化学賞に続きDNAの構造解析で医学生理学賞を受賞すると予想されたが、ワトソンとクリックにあと一歩及ばず、三つ目のノーベル賞を逃したことは、有名な話である。
この逸話を含むDNA構造解析までの経過は、ワトソン/クリックの著書「二重らせん」の面白く紹介されている。
ともあれ、現在非常に注目されている遺伝子工学(バイオテクノロジー)は、このDNAの構造解析を持って始まった。
そういった意味で1953年は近代バイオテクノロジーノ記念すべき年である。
核酸の医学栄養学的研究もまた、この年をもって始まったと言える。
話は幾分横道にそれたが、DNAの緩い二本鎖の結合はそれぞれの鎖が持つ四種の塩基(A、T、G、Ⅽ)が対を作ることによって行われる。
対はAとT、GとⅭの二つに限られる(相補的結合)。
細胞分裂は二本鎖が離れ、それぞれの鎖がそれぞれの相棒を作ることによって行われるが、その時にもAはTを、TはAを、GはⅭを、ⅭはGを求めて新しい二重らせんが作られてる。(ネガとポジの関係)。
すなわち、細胞核内でDNAが一組の二本鎖から二組の二本鎖(まったく同じ構造)に増えるわけである。それにともない細胞が二つに分かれる。
このようにひとつの細胞から二つに、二つから四つに、四つから八つにと細胞がどんどん増えていくことを細胞分裂(新陳代謝)という。
細胞の若返りにいかにDNAが必要であるかは、このように非常にわかりやすい仕組みの中で理解することができる。
塩基バランスは最も優れているのは水溶性北海道白鮭白子エキス ビール酵母エキス(要注意:トラル酵母)
外国におけるDNAの医薬品としての利用
このように驚くほどの効果が現われた鮭白子エキス(塩基バランスは非常に優れている)とビール酵母エキス、その効果について今までどの程度のことが知られていたのであろうか?
実は日本では薬ではないが、外国には鮭などの魚の白子から核酸DNAを抽出して薬として使っている国がある。
例えば、中国ではDNAのナトリウム塩を注射薬として使い、フランスでは内服薬として使っている。
中国におけるDNA-Naの適応症
- 急慢性肝炎、肝臓肥大
- 白血球減少症、血小板減少症
- 心筋炎、急性心筋梗塞
- 放射線障害、伝染病回復時の衰弱
- 貧血、増血不能症、栄養不良、老人性衰弱
- 骨折、火傷の治療促進
- 機能低下、めまい、心悸亢進など
- キストです
フランスにおける投与量は、適応症状に応じて大人で1日250mgから900mgであり、小児はその半分である。
フランスにおけるDNA-Naの適応症
- タンパク質代謝異常、代謝調節
- 貧血、白血球減少症
- 骨に関する様々な疾病(骨折癒着遅延、骨多孔質症、カルシウム沈着の強化)
- 放射線(X線)、薬剤副作用の治療
- 歯肉腫、歯芽放出
- 肉体的、精神的疲労回復
- アミノ酸バランス不良
- 神経症
- 関節炎
- 火傷、外科手術後の患者
- 乳児、未熟児の栄養障害
- 衰弱、食欲不振
- 産後、授乳回復期、病気の回復期
- ビタミンB12の併用で成長促進
日本におけるビール酵母の医薬品としての利用
ビール酵母は、日本では医薬品とし使われている。
これは核酸RNAのみならず、タンパク質、ビタミン、ミネラル、繊維質、ポップ等に富んでいるため様々な薬効がある。
その適応症をまとめると表2-3のようになる。ビール酵母中のどの成分に効果があるのかはっきりしていないものもあるが、核酸RNAが大なり小なり何らかの関与をしていると考えられる。
医薬品としてのビール酵母の投与量1日8から10グラムであり、その中にRNAは約400mg含まれている。核酸DNAとRNAがなぜこのような効果をもっているのか、別のタイトルに詳しく紹介。
ビール酵母の適応症
- 酵素や細胞を活性化する
- 腸内有用菌を強化し整腸を促進する
- 便秘の改善
- 肝機能の改善(脂肪肝の防止、肝硬変など)
- 悪酔い防止
- 抗ガン、制ガン作用
- 高血圧
- 糖尿病
- 脚気
- 低タンパク質血症
- 頭の老化防止
- メニエル氏病
- 白内障