腹八分目と空腹時間が大切発酵食、魚、きのこは有望な食材
どのような生活習慣や環境なら、老化の進行を遅らせるのか。
世界中の研究結果から信頼性の高い老化制御法として、米国立老化研究所(NIA)が2014年に発表したのが「ライフスパンを延ばす7つのメソッド」
- カロリ制限
- 断食
- 運動
- レスベラトロール(食品成分ポリフェノールの一種特にベリー類が豊富
- スペルミジン(ポリアミンの一種 白子に豊富に含まれ)
- ラパマイシン(薬剤)
- メトホルミン(薬剤)
中でも、最も古く、1930年代からさまざまな機関によって研究されてきたのが、カロリー制限。
また、気軽に挑戦できそうなのが「断食」だ。
「お腹が鳴るくらい空腹を感じてから腹八分目の食事をとるようにするだけでも、細胞の老化を制御する酵素であるサイチュインを活性化させ、老化を遅らせる可能性があります」
7つのメソッドの1つの「スペルミジン」は納豆、味噌、チーズなどの発酵食品、キノコに多く含まれる成分。
「スペルミジンを多く含む発酵食品などを食べると、オートファジー機能が働き、細胞レベルの老化が抑えられる可能性があります」
早野さんは話す。一方、米英独などの抗老化研究者が2020年に発表した「老化を制御する薬や食品の候補の中で、健康寿命を延ばす可能性が期待されているのが、ビタミンB3(ナイアシン)から作られるNMN(ニコチンアミドモノヌクレアチド)NR(ニコチンアミドリボシド)というサプリメントだ。
NMNとNRはブロッコリー、枝豆などにも微量に含まれる。
体内で私たちが生きていくうえで欠かせない補酵素のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換されて、サーチュインを活性化することがマウスなどによる実験で分かっている。
米国の研究では、糖尿病予備軍で閉経後の女性が10週間NMNを摂取したところ、骨格筋でインスリンの効きが25%上昇し、老化によって低下する糖の取り込み機能が改善した。ただ、NMNやNRに、ヒトの寿命を延ばす効果があるかは分かっていない。
「比較的安価なナイアシン(ビタミンB3 )が多く含まれる食品やサプリメントをとるだけでも、老化によって低下する体内のNAD濃度を上げ、サーチュインを活性化させる可能性があります」。
ナイアシンが多く含まれる食品には、カツオ、イワシ、サバ鶏ささみ、キノコ類、穀類などがある。
そして、もう一つ、米英独の抗老化研究者がまとめた「老化の制御する薬や食品の候補」の中で、アミノ酸の一種「グリシン」だ。
サケ白子、豚足、鶏の軟骨や皮、牛スジ、イカ、サバなどの魚介類、大豆などに多く含まれる。
マウスやヒトに対する研究で、グリシンを補給すると、老化によるエネルギー欠乏やDNAに傷をつけて老化を加速させる酸化ストレスが軽減することが確かめられている。
腹八分目を心がけ、スペルミン(食品成分:ポリアミンの一種)を含む納豆、キノコ、ビタミンB3の多い食品を意識してとることは今日から始められる。